着物を持っているけれど、たたみ方が分からず困っていませんか?
そんなあなたのために、元呉服屋の私が簡単に分かりやすく、写真付きで着物のたたみ方を解説します。この記事を読めば、難しそうに見える着物のたたみ方もコツとポイントを押さえてスムーズにできるようになります。
きれいにたたむことで、着物を長持ちさせ、次に着る時もシワのない美しい状態を保つことができますよ。
着物のたたみ方の主な種類
着物のたたみ方にはいくつかの種類があり、それぞれの用途や着物の種類に応じた方法があります。以下に、代表的な4つのたたみ方を紹介します。
本だたみ
本だたみは、長着(ながぎ)や羽織(はおり)を正しくたたむための基本的な方法です。
女物、男物、単衣(ひとえ)、袷(あわせ)など、ほとんどの着物はこのたたみ方を用います。この方法をマスターすることで、着物を美しく保管し、次に着る時にもシワがつかないようにできます。
本だたみは基本中の基本なので、ぜひ覚えておきましょう。
袖だたみ
袖だたみは、本だたみに対する一時的なたたみ方で、着物を仮にたたむ際に使用されます。
着物を一時的に保管したり、持ち運びする際に便利です。この方法は、急いでいるときや着物を頻繁に出し入れする場面で重宝します。
ただし、長期間の保管には本だたみの方が適していますので、用途に応じて使い分けましょう。
夜着だたみ
夜着だたみは、二枚重ねの長着や絵羽(えば)模様の着物、子供の着物、夜着(よぎ)、丹前(たんぜん)などのたたみ方です。
特に、留袖、男物の紋付き、刺繍(ししゅう)や箔(はく)のある訪問着に適しています。これらの着物を傷めないように、模様や紋を保護するためのたたみ方です。
大切な着物を長持ちさせるためにも、このたたみ方をしっかりと理解しておくことが重要です。
襦袢だたみ
襦袢だたみは、襦袢(じゅばん)やコートをたたむための方法です。
このたたみ方を使うことで、襦袢やコートをきれいに保ち、次に着る時にもスムーズに着用できます。襦袢だたみをマスターすれば、日常的に着物を楽しむ際にも役立ちます。
写真で見る着物のたたみ方
それでは、実際の着物のたたみ方を写真とともにお伝えしていきます。
着物の基本のたたみ方【本だたみ】
①衿を左にして着物を広げ、手前の脇縫いで折る。
②衽(おくみ)線で手前に折り返す。
③上前身頃を手前に持ってきて、左右の衿を重ねる。
※衿は↓のようにM字に重ねる。
④左右の脇縫いを重ねて、背縫いを折る。
⑤左袖を身頃の上に折り返す。
⑥裾を衿の方へ持ち上げて重ねる。
⑦手前の着物がすべて重なっている部分をつかんでひっくり返し、右袖を重ねる。
一時的なたたみ方【袖だたみ】
①衿を左、裾を右にして着物を広げる。
②左右の袖と袖山、左右の身頃を合わせ、脇縫いを重ねる。
③重ねた袖を身頃に折り重ねる。
④裾を衿の方へ持ち上げて身頃を半分に折る。
⑤さらに半分に折る。
豪華な着物のたたみ方【夜着だたみ】
①衿を左、裾を右にして着物を広げる。
②下前、上前の順に両脇を正しく折る。
③衿を内側に折り三角にして、衿先まで平らに伸ばす。
④左袖が上、右袖が下になるように両袖を前身頃に折り重ねる。
⑤折り目が強くつかないように和紙を軽く巻いたものや真綿などを置く。
⑥身丈を半分に折る。
⑦さらに半分に折る。
※刺繍や模様のある部分に和紙や白布を当てておくと、傷み防止になる。
長襦袢のたたみ方【襦袢だたみ】
①衿を左、裾を右にして襦袢を広げる。
②奥側の上前身頃が上になるように、上前身頃と下前身頃を折り重ねる。
③下前身頃の脇の縫い目が身頃の真ん中に来るように後身頃を折って前身頃に重ね、袖口は身頃から出ないよう折りたたむ。
④上前身頃も下前身頃と同様に折り、左袖は右袖に重ねて折り返す。
⑤たとう紙に入る大きさになるよう、裾を折り重ねる。
袋帯のたたみ方
①模様を外側にして、手先を上、タレ先を下にして二つに折る。
②さらに半分に折り重ねる。
③さらに半分にし、太鼓柄が上に出るようにひっくり返してたとう紙に入れる。
名古屋帯のたたみ方
①手先が左、タレ先を右にして、帯の裏が見えるように置く。
②お太鼓の縫い止まり部分を三角に折り、手を右に折り返す。
③タレのところから手を三角に折り返す。
④手の残りをお太鼓の上に折り返す。
⑤左側の三角に折った縫い止まり部分を内側に折り返し、お太鼓の柄を折らないように垂れを内側に折り返す。
まとめ
着物のたたみ方には本だたみ、袖だたみ、夜着だたみ、襦袢だたみなどがあります。
それぞれのたたみ方を正しく学ぶことで、着物を長持ちさせ、美しい状態を保つことができます。写真付きの解説を参考にしながら、ぜひ実践してみてください。
適切なたたみ方を覚えて、大切な着物をいつまでもきれいに保ちましょう。